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メトネルのオススメのピアノ曲を紹介

ラフマニノフスクリャービンより少し遅くロシアに生まれたメトネル(1880-1951)の作品は、まだ知名度があまり高くありません。

そこで、「メトネルって何から聞けばいいの?」という方のために、メトネルのおすすめのピアノ曲を紹介していこうと思います。


目次

はじめに メトネルの作品の全容について

メトネルの作品の一覧は、Wikipediaから見ることができます。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%A5%BD%E6%9B%B2%E4%B8%80%E8%A6%A7

メトネルの作品はジャンルが偏っているのが特徴で、ほとんどがピアノ独奏曲か声楽曲で、あとはヴァイオリン曲がいくつかと、ピアノ協奏曲が3曲という感じです。(ちなみに、管弦楽を含む作品はピアノ協奏曲のみ)

ピアノ独奏曲に関しては、ソナタが14曲と多く、また「おとぎ話」という作品が多いのが特徴です。(ちなみに、おとぎ話だけまとめた楽譜も出版されています。

それでは作品番号順に、いくつかオススメの作品を紹介したいと思います。

ピアノソナタ第1番 Op.5 ヘ短調

初期の作品では郡を抜いて傑作です。メトネルの作品の中でも、ソナタは特に難解なものが多いのですが、初期の作品とだけあって、かなりキャッチーでわかりやすい作品です。

全4楽章、約30分と長いので、まずは第1楽章だけでも聴いてみてください。

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おとぎ話 Op.20-1

おそらくメトネルの「おとぎ話」の代表格ではないでしょうか。

初期のスクリャービンラフマニノフを思わせる、ロシアらしい重厚な雰囲気が特徴です。

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4つのおとぎ話 Op.26

夢想的な雰囲気の第1曲と、軽快なパッセージが特徴の第2曲が私のオススメです。

ちなみに、2曲とも変ホ長調で書かれています。一般的に、組曲で同じ調性の2曲が連続するのは珍しいので、興味深いポイントです。

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3つの小品 Op.31

夭逝した同世代の作曲家、スタンチンスキーに捧げられた傑作。

第1曲「即興曲」が私のイチオシです。もはや、この曲を紹介するためにこの記事を書いたと言っても過言ではありません。変奏曲の形式で書かれた、様々な技巧が登場する難曲です。

第2曲「葬送行進曲」もなかなか面白い作品で、ロ短調で書かれていますが、高音域で「ラーーーファ#ーーー」が常に鳴り続けるのが特徴です。メトネルの全作品の中でもトップクラスに不気味な曲です。

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忘れられた調べ 第1集 Op.38, 第2集 Op.39, 第3集 Op.40

第1集から第3集までが連番で出版された重要な作品です。

イチオシは第1巻から第3曲「祝祭の踊り」です。曲名通りの、明るく賑やかな曲です。

第1巻では第6曲「夕べの歌」もオススメです。叙情的で美しい曲です。

ちなみに、この曲の冒頭のフレーズは第1巻を通して使われており、第1曲や第8曲(終曲)でも登場します。

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第2巻の第3曲「春」も、メトネルらしい技巧的で軽快な作品です。終曲となる第5曲「悲劇的ソナタ」も壮大で重厚な雰囲気の作品で、根強い人気があります。

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ちなみに第3巻はあまり印象に残る作品ではありませんでしたが、5拍子や7拍子など変拍子の曲が多くて面白いので、気になる方は調べてみてください。

6つのおとぎ話 Op.51

おとぎ話の中では最後に書かれた作品。キャッチーで分かりやすい曲が多い曲集です。特にオススメなのは、第1曲と第3曲でしょうか。

第1曲は、メトネルらしい軽快さとスピード感のある作品で、個人的には「おとぎ話」というタイトルの通りの、物語性のようなものを感じる作品です。

イ短調で書かれた、どこか虚ろでありながらも美しい第2曲も素敵な作品です。イ長調に転ずる中間部も魅力的です。

イ長調で書かれた、優しく明るい雰囲気の第3曲も人気の作品で、単曲で演奏される機会も多いようです。

連打を多用して滑稽な雰囲気の第6曲も、メトネルにしか書けないような面白さがありますね。

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番外編 ヴァイオリンソナタ第3番 ホ短調 Op.57 「エピカ」

1曲だけピアノ独奏曲ではないものを。

私はピアノ独奏曲以外のことは全くわからないのですが、聴いてみて、なんとなく素敵な曲だな、と思ったので紹介しました。

ちなみに「エピカ」とは「叙事詩」という意味で、「おとぎ話」にも通じるような要素を感じました。 

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以上、「メトネルって名前は知ってるけど、何から聴けばいいんだろう?」という方の参考になれば幸いです。