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【NK-POP】おすすめの北朝鮮音楽 8選

近くて遠い国、北朝鮮

「コンギョ」の通称で知られる「攻撃戦だ」など一部の楽曲は有名ですが、他の楽曲はそれほど知名度が高いとは言えません。

そこでこの記事では、私がネット上で聴けるものをほぼ全て聴いてみた感想をもとに、ランキング形式でいくつかの楽曲をご紹介します。

目次

第8位 武装で仕えよう我らの最高司令官

北朝鮮の音楽は、軍歌・アイドルソング・その他の歌曲の3種類に大別されますが、まずは軍歌調のものからご紹介します。

武装で仕えよう我らの最高司令官」はザ・軍歌といった感じの明るく勇壮な楽曲です。

人気の楽曲のため様々なアレンジがあり、後述するモランボン楽団も演奏しているほか、中外旅行社という北朝鮮専門の旅行会社のホームページでもかなりポップなアレンジが使われています。

第7位 より高く より速く

他の曲にはない、とても明るい雰囲気が特徴的な一曲です。

聴くと誰でも元気になれると思います。

歌詞は「将軍様の領導のもと、強い国を築こう」といった当たり障りのない内容です。

第6位 金正日将軍の歌

ゆったりとしたリズムの、力強い男声合唱が特徴的な楽曲。

ちなみに最高音はA♭と、男声合唱としては高めです。

金日成将軍の歌」や「金正恩将軍の歌」もありますが、それらと比較するとメロディーのキャッチーさが秀逸だと思います。

第5位 走って行こう未来へ

国家お抱えのアイドルバンド、モランボン楽団のオリジナル曲の中でも特に人気のある一曲。

清楚で明るい雰囲気が特徴的で、歌詞も国家権力を讃えるような内容は少なめで、まるで平成初期のアイドルソングのようです。

なお、モランボン楽団は多くの楽曲をアレンジして演奏しているので、ぜひ探して聴いてみてください。

第4位 攻撃戦だ 

「コンギョ」の通称で知られる、言わずと知れた名曲。

曲名通りの攻撃的な歌詞が特徴的ですが、実は経済目標の達成を煽るために書かれました。

この曲も非常に多くの編曲がありますが、個人的には以下のアコーディオン独奏版は特に素晴らしいと感じます。

オーケストラ + 合唱 + 4人の独唱という、ベートーヴェンの第9も顔負けの編成の以下の演奏もオススメです。

第3位 我が党に永遠に従おう

曲名の通り、朝鮮労働党を讃える楽曲。

こちらはモランボン楽団が編曲したバージョンをご紹介します。

グリーグのピアノ協奏曲を彷彿とさせるようなピアノソロに始まり、その後も各楽器に見せ場が多かったりと、とにかく演奏が素晴らしいです。

第2位 千里馬走る

メロディーのキャッチーさと疾走感に加え、曲の流れが非常に特徴的な一曲。

ポップスだと1番 → 2番 → 間奏 → サビの繰り返しという流れが一般的ですが、かなり工夫が見られます。音楽的には他の追随を許さない完成度だと思います。

歌詞は朝鮮労働党を讃える内容です。

第1位 将軍様は縮地法を使われる

最後にご紹介するのは、「将軍様が瞬間移動をする」という意味不明極まりない内容で知られる、こちらの一曲。

「縮地法」とは瞬間移動術のことですが、金正恩体制になってから縮地法は使えないということを当局が認めたので、残念ながら演奏頻度は下がるかも知れません。

昭和のロボットアニメのような絶妙なダサさもポイントです。

 

以上、北朝鮮の名曲をいくつか紹介させていただきました。

皆さまに気に入っていただける曲があれば幸いです。

【知られざる名曲】バグダサリアン 24の前奏曲

このブログでは、知られざるピアノの名曲を紹介しています。

今回はアルメニアの作曲家、エドゥアルド・バクダサリアンの「24の前奏曲」をご紹介します。

目次

バグダサリアンについて

エドゥアルド・バグダサリアン (1922 ~ 1987) はアルメニアを代表する作曲家の一人です。

クラシックからポップスに至るまで、さまざまなジャンルの作品を残しましたが、日本での知名度はあまり高くありません。

なお、アルメニアの作曲家のピアノ曲については、当ブログの↓の記事でも紹介しています。

なかなかに名曲の宝庫なので、ぜひ聴いてみてください。

24の前奏曲について

バグダサリアンが残した数少ないピアノ曲のうち、最も有名なものが「24の前奏曲」です。

ショパンなどの「24の前奏曲」と同じく、ハ長調イ短調ト長調ホ短調という順で曲が配置されており、最後はニ短調で終わります。

全曲通しでの音源はこちら↓

時間は40分ほどと中々の大作となっており、全て聴くのは大変だと思います。

ということで、この記事では中でもオススメの曲をいくつか紹介します。

なお、一番人気があるのは6番です。とりあえず一曲だけ聴いてみようかな...という方は、6番だけでもぜひ聴いてみてください。

第4曲 ホ短調

6/8拍子で書かれたトッカータ的な曲。少なくとも前奏は明確にホ短調ですが、独特の旋法に基づくメロディーが出てきたり、中間部では雰囲気がガラっと変わって無調的になったりと、1分強の間に非常に豊かな表情を見せます。

第6曲 ロ短調

全24曲中、屈指の人気曲。

三部形式で書かれており、流麗なメロディーが美しい主部と、舞曲調の主題が劇的に展開される中間部からなります。

全体を通してアルペジオを駆使しており、演奏効果も抜群です。

第9曲 ホ長調

4声で書かれた、バロック音楽の影響を色濃く感じさせる作品。

主旋律の美しさが際立つ、穏やかでありながら、少しの躍動感も感じられる作品です。

第14曲 変ホ短調

この曲も三部形式で書かれていますが、主部はかなり掴みどころがなく、無調的な性質も強い作品です。

しかし、変イ長調に転じて明確にメロディーが出現する中間部は非常に美しく、その対比が見事です。

第23曲 へ長調

聴いただけだと分からないかもしれませんが、和音の左右交互連打だけで書かれている曲です。楽譜はこんな感じになっています↓

音域が近い和音を弾くため、必然的に音響的にも面白くなる作品。弾いていて楽しいという意味でも、個人的にはポイントの高い一曲です。

第24曲 ニ短調

24曲の掉尾を飾る終曲です。おそらくは第6曲に次ぐ二番人気の曲です。

ショパンスクリャービンは終曲を激情的な曲で締めましたが、バグダサリアンはそうはしませんでした。

感傷的なメロディーが美しい、透明感のある和声と対位法的な性格も際立つ名曲です。

楽譜について

無料楽譜

楽譜はネットで入手することもでき、Scorserなどのサイトで「Bagdasarrian」で調べればすぐに出てくると思います。

ただしバグダサリアンは著作権が切れていない作曲家なので、自己責任でお願いします。

また、誤植が多く楽譜が読みにくいのも欠点です。

有料楽譜

長年の間、合法的には楽譜の入手が難しかったこちらの作品ですが、なんと2022年になって、日本のMuse Pressという出版社から楽譜が出版されました。

この曲を実際に演奏しているラフィ・ベサリアンというピアニストが校正しており、無料の楽譜と比べると、楽譜自体もかなり読みやすいです。

需要が少ないということもあって値段は高いですが、この作品を演奏されるのであれば、個人的には非常にオススメです。

【知られざる名曲】ドリーブ = ドホナーニ 「コッペリア」のワルツ

このブログでは、知られざるピアノの名曲を紹介しています。

今回はドリーブのバレエ音楽コッペリア」の中でも人気の高い「ワルツ」をドホナーニが編曲したものをご紹介します。

目次

ドリーブと「コッペリア」について

レオ・ドリーブ (1836 ~ 1891) はフランスの作曲家で「バレエ音楽の父」とも呼ばれています。

コッペリア」は全3幕からなるバレエで、ドリーブの代表作になります。

その中でも有名なのが、第1幕の序盤に演奏される「ワルツ」です。

ドホナーニについて

エルンスト・フォン・ドホナーニ (1877 - 1960) はハンガリーの作曲家・ピアニストです。

そこそこ有名な作曲家ですが、もしかしたら名前すら聞いたことがない人も多いかもしれません。

作風としては、ブラームスなどのドイツロマン派の影響が色濃いと一般的には言われています。

一般的に演奏頻度が高い作品は「6つの演奏会用練習曲」でしょうか。

ドホナーニはピアニストとしての腕も高く、それがよく分かるような作品です。なおドホナーニはピアノの教則本も書いており、現在でも高く評価されているようです。

コッペリアの「ワルツ」のドホナーニによる編曲

そんなドホナーニがコッペリアの「ワルツ」を編曲したものが以下の編曲になります。

原曲に忠実でありながら、技巧的に派手な要素を散りばめたような編曲です。

この編曲は、原曲のバレエでも「ワルツ」の前奏として演奏される部分から始まります。

その後、派手なカデンツァを経て、主題Aが奏されます。

この主題は何回か変奏されますが、最初の部分は非常にシンプルな編曲です。

次に登場するのが主題B。

ここから転調して華やかになりますが、適度に音が少ないのがセンスが良いと思います。

そして主題Aの1回目の変奏。

ここから三声になり、厚みのある響きになります。

そして主題Cが登場します↓

原曲ではここで終わりますが、さすがに2分で終わってしまっては勿体ありません。

ということで、ここからかなり自由に転調し、最終的にロ長調に転調します。

断章的に挿入されるこの主題は、第2幕で演奏される「人形のワルツ」です。

原曲はこちら。人形 (コッペリア) 役のバレリーナのカクカクした動きが視覚的にも面白いので、ぜひ見てみてください。

そして「ワルツ」に戻り、主題Aの2回目の変奏となります。

ここでも多声的な書法が使われています。

そして主題Cが再登場し、そのまま原曲通り派手に終わるのかと思いますが、消えるように主題Aの3回目の変奏につながります。

最後まで原曲の優雅で可愛らしい雰囲気を壊すことなく、それでいて華やかに終わります。

ドホナーニの編曲の技法が光る作品と言えるでしょう。

楽譜のリンク

楽譜はIMSLPから入手することができます。

https://s9.imslp.org/files/imglnks/usimg/d/de/IMSLP283444-PMLP41246-Dohnanyi_Copp%C3%A9lia_Score.pdf

聴いた感じは派手に聴こえるかもしれませんが、意外と難しくありません。中級程度の難易度と言えると思います。

原曲も有名で編曲も素晴らしいにも関わらず、意外と弾かれることの少ない本作。

ぜひ、こちらのリンクから楽譜をダウンロードし、弾いてみてください。

おすすめの国歌 5選

国歌というと、オリンピックやW杯で聞くことはあっても、普通の人は特に気にして聴いていないかと思います。

しかし、実は世の中には素晴らしい国歌がいくつもあります。この記事では、そのうち5つの国歌をランキング形式でご紹介します。

目次

第5位 トルクメニスタン国歌

最初にご紹介するのは、トルクメニスタンの国歌です。

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トルクメニスタンは「中央アジア北朝鮮」「謎の国家」などとも呼ばれ、国自体も非常に気になりますが、この国歌もなかなか。

民族的な旋法とコード進行が特徴的で、ありきたりなコード進行の国歌が多い中、長調とも短調とも取れないテイストで異色を放っています。

ちなみに話は逸れますが、ロシア人のシェヒターという作曲家が書いた「トルクメニスタン」という組曲があります。

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その第3曲 (動画の6:01~) も、同じく民族的な旋法と不安定な調性が特徴的な1曲です。

打楽器的な奏法も特徴の作品なので、バルトークあたりが好きな方はぜひ聴いてみてください。

第4位 スロバキア国歌

つづいて、スロバキアの国歌をご紹介します。

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「稲妻はタトラの上を通り過ぎ」と題されたこの曲は、オーソドックスな宗教曲のような雰囲気です。

調性はト短調。比較的ゆったりとしたリズムと、美しい合唱がなんと言っても魅力です。

第3位 モーリタニア旧国歌

つづいて、1960年から2017年までモーリタニアで使用されていた国歌をご紹介します。

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ひとことで言えば「マジでヤバい」曲です。

同じ音型を繰り返す「ミニマル・ミュージック」というジャンルがありますが、それに片足を (両足を?) 突っ込んでいるだけでなく、不協和音を多用し調性も極めて不安定という1曲です。

国歌が協和音で終わらないなんて聞いたことがありません。

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こちらはライブ版です。

かなり不協和音が鳴りますが、それで合っているのか合っていないのかすら判別がつかないという激ヤバ曲です。

なぜこれを国歌にしたのでしょうか。

第2位 モロッコ国歌

続いてはモロッコの国歌をご紹介します。

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先ほどご紹介したモーリタニアと国境を接する北アフリカの国ですが、こちらは打って変わって「普通にカッコいい」曲だと思います。

さまざまな編曲もありますが、公式には調性は変ロ短調です。メロディーラインも素晴らしいのですが、対位法的な性質の強さが、この曲の魅力をさらに高めていると思います。

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私のイチオシの編曲は、こちらのヘヴィ・メタル版。

この方は別のバージョンの編曲もされているので、ぜひ聴いてみてください。

第1位 カザフスタン国歌

最後にご紹介するのはカザフスタンの国歌です。

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音楽的に面白いわけではないですが、とにかくカッコいいです。

短調の国歌ばかり紹介してきた気がしますが、こちらも例に漏れずニ短調です。

なお、こちらもさまざまな編曲があります。

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まずご紹介するのは、こちらのバラード風のアレンジ。嬰へ短調にキーが変わっていることもあり、物悲しげな雰囲気がとても素敵です。

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こちらのアレンジも素晴らしいです。最後にサビを繰り返すのですが、そこで1オクターブ上げることでボルテージを一気に高めるのが最高です。

ここまで綺麗に低音から高音まで出せるのは凄いの一言です。

 

さて、いかがだったでしょうか。5つの国歌をご紹介しましたが、もしお気に入りの国歌が見つかれば幸いです。

アレムダール・カラマーノフのピアノ曲について

アレムダール・カラマーノフという作曲家をご存知でしょうか。

交響曲を24曲書くなど多作で、同級生だったシュニトケなどからも作品は高く評価されていましたが、日本での知名度は全くないといっても過言ではありません。

この記事では、カラマーノフについて、およびカラマーノフのピアノ作品についてご紹介します。

目次

カラマーノフについて

アレムダール・カラマーノフ(1934-2007)はソ連の作曲家です。

クリミア半島シンフェロポリで生まれ、幼い頃から音楽に親しんで育ちます。

1953年にモスクワ音楽院に入学し、ピアノ科と作曲科を卒業後、1963年まで大学で研究を続けました。

モスクワ時代の作品は調性音楽ですが、モスクワを離れる少し前の1962年頃からはアバンギャルド音楽に傾倒していたようです。

しかし、1965年にシンフェロポリに戻るとともに洗礼を受けてキリスト教となり、それ以降は宗教音楽を主に書くようになりました。

カラマーノフのピアノ作品について

交響曲が有名なカラマーノフですが、ピアノ作品も数多く書いています。

ちなみに、ピアノ作品のほとんどはモスクワ時代に書かれたものです。

以下、年代順にいくつか紹介します。

ワルツ ト長調

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まずは最初期の作品(習作)を紹介します。

こちらの「ワルツ」は1944年ごろの作品で、まだ10歳ごろの作品です。

特段面白い作品ではないですが、この年齢でこの作品が書けるということに才能を感じさせられます。

ピアノソナタ 第1番

www.youtube.com

こちらはモスクワ音楽院に入学した1953年の作品で、後期ロマン派のような作風の美しい作品です。

ちなみに「怒りの日」の主題がそのまま登場する箇所があります。やはり当時からキリスト教への関心があったのでしょうか。

ちなみに、カラマーノフはピアノソナタを4曲作曲しています。(最後の第4番は1961年に作曲)

廃寺

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1959年の作品。

神秘的と言いますか、退廃的と言いますか、まさに廃寺の情景が目に浮かぶような作品です。

ちなみにですが、私はこの曲をたまたま知って非常に気に入り、この記事を書くに至りました。

変奏曲

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1962年の作品。

後期ロマン派のような美しい作品で、技巧的な要素も多い作品です。

ピアノ音楽 第2番

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「変奏曲」と同じく1962年に書かれた作品。

作風は打って変わり、調性のない、いわゆるアバンギャルド音楽になります。

アヴェ・マリア

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こちらはキリスト教徒になった後の1972年に書かれた作品。

非常に美しい作品です。いわゆるイージーリスニングに近い作風の作品かもしれません。

参考情報

カラマーノフの作品一覧(年表)は以下のサイトから見れます。

http://www.karamanov.ru/musics/musics.html

また、同じサイト内に楽譜も載せられており、ここで紹介した作品の楽譜はほとんど入手できます。

http://www.karamanov.ru/note/note.html

アルベニスの「イベリア」の各曲名の由来(地名)と、それらを全て巡る方法

アルベニスの「イベリア」はクラシック音楽を代表する傑作として知られています。

「イベリア」は12曲からなりますが、その曲名はほとんどが地名です。本記事では、これらの地名についての解説に加え、すべての場所を回る最適なルートを提案します。 

目次

スペインの地理について

スペインは17の州、50の県からなります。

第9曲「ラバピエス」はマドリッド州の地名ですが、その他の曲のタイトルとなっている地名はすべてアンダルシア州の地名です。

この画像の中央部に赤色で描かれているのがマドリッド州で、最も南に青色で描かれている州がアンダルシア州です。

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また、アンダルシア州は以下の7つの県からなります。

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全12曲の曲名の由来について

曲名の由来(地名)は以下の通りです。○がついているものが、曲名が地名のものになります。

第1曲「エボカシオン」・・・「霊を呼び覚ます」といった意味のスペイン語

○第2曲「港」・・・カディス県 エル・プエルト・デ・サンタ・マリア(El puerto de Santa Maria), あるいはカディス

○第3曲「セビーリャの聖体祭」・・・セビーリャ県 セビーリャ 4月の市(Feria de abril de Sevilla)

(○)第4曲「ロンデーニャ」・・・マラガ県 ロンダで生まれた舞曲

○第5曲「アルメリア」・・・アルメリアアルメリア

○第6曲「トリアーナ」・・・セビーリャ県 セビーリャ トリアナ地区

○第7曲「アルバイシン」・・・グラナダグラナダ アルバイシン地区

第8曲「エル・ポーロ」・・・アンダルシアに古くから伝わる舞曲の名称

○第9曲「ラバピエス」・・・マドリッドマドリッドマドリッド ラバピエス地区

○第10曲「マラガ」・・・マラガ県 マラガ

○第11曲「ヘレス」・・・カディスヘレス・デ・ラ・フロンテーラ(Jerez de la Frontera)

○第12曲「エリターニャ」・・・セビーリャ県 セビーリャ郊外にある居酒屋を兼ねた宿屋

 

これらを地図上で示すと、以下のような距離感になります。(ラバピエスは省略)

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これらの場所を全て回るには

それでは、上記で示した7ヵ所とラバピエスを全て回るにはどうすればいいでしょうか。

以下、旅程の例を考えましたので、行ってみたいという方は参考にしてみてください。

1. マドリッド(ラバピエス地区)

まずはマドリッドへ行きましょう。

マドリッドは首都ですのでアクセスは良いです。日本からの直航便もあります。

バラハス空港から市内中心部までは10kmほどありますが、RENFE(国鉄)やメトロ、バスなどの交通手段で簡単に行くことができます。

プエルタ・デ・ソル(太陽の門)のあたりがマドリッドの中心部になります。

ラバピエスマドリードの中心部から徒歩10分ほどです。地下鉄を使ってラバピエス駅まで行っても良いです。

2. グラナダ(アルバイシン)

つぎはアルバイシン地区のあるグラナダを目指します。

グラナダまではRENFE(国鉄)のAVE(高速鉄道システム)で移動します。AVEとは、日本でいう新幹線のようなものです。

マドリッド中心部にあるアトーチャ駅で乗車すれば、3時間ほどでグラナダに到着することができます。

グラナダ駅からグラナダの中心部までは、徒歩(20分ほど)またはバスで移動できます。ヌエバ広場のあたりがグラナダの中心部です。

アルバイシン地区というのは、アルハンブラ宮殿の西側の地区です。アルハンブラ宮殿グラナダの中心部から徒歩(20分ほど)またはバスでアクセスが可能です。

3. アルメリア 

次はアルメリアを目指します。RENFE(国鉄)のMD(中距離列車)に乗れば、グラナダからは乗り換えなしで3時間で到着します。

4. マラガ 

アルメリアからマラガまではALSA社のバスで移動します。3時間少しで移動することができます。

バスは海沿いを通りますが、この区間は電車は通っておらず、電車を使うのであれば再度グラナダに戻ることになります。

ただし、同じ値段でも便によって途中で停まる回数が違い、到着時間も大幅に変わるので注意してください。

5. ロンダ

マラガからはバスまたは鉄道でアクセスが可能です。

鉄道でマラガから行く場合は、まずはマリア・サンブラーノ駅(Malaga Maria Zambrano駅)へ向かいます。

マリア・サンブラーノ駅はマラガ空港から鉄道(RENFE)で3駅とアクセスもよく、マラガ市内で最大の駅となっており、周辺にはホテルなども多く建っています。

ただし、ロンダへ向かう列車は朝に1本あるだけとなっています。

6. セビーリャ

次はロンダからセビーリャへ向かいます。

ロンダからセビーリャは鉄道が通っていませんので、バスの移動になります。ロンダが山の中にあるため、バスはかなり揺れるそうです。

なお、「イベリア」の第4曲は「ロンデーニャ」であって「ロンダ」ではないので、ロンダを省略する場合は、マラガからセビーリャへ鉄道(RENFE)で向かうことも可能です。

その場合、主要都市から主要都市への移動になるのでAVE(高速鉄道システム)も走っていますし、MD(中距離列車)も走っています。AVEを使えば2時間、MDを使えば3時間半ほどでアクセスできます。

RENFEを使う場合、降りる駅はサンタ・フスタ駅(Sevilla Santa Justa駅)となります。

セビーリャ大聖堂やアルカサルがある辺りがセビーリャの中心部となり、サンタ・フスタ駅からはセビーリャ・メトロやバスなどでアクセスできます。2kmほどなので歩くことも可能です。

ちなみに、観光スポットの一つでもあるトリアナ橋(イサベル2世橋)を渡った先にあるのがトリアナ地区になります。

7. ヘレス

次はヘレスを目指しましょう。

RENFEのMDで移動します。セビーリャのサンタ・フスタ駅からカディス行きの電車に乗り、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ駅(Jeres de la Frontera駅)で降りれば良いです。1時間強で着きます。

アレナル広場(Plaza del Arenal)のあたりがヘレスの中心部となり、駅からは歩いて15分ぐらいです。

8. エル・プエルト

最後はエル・プエルトへ行きましょう。エル・プエルト・デ・サンタ・マリアは「サンタ・マリアの港」という意味で、通称はエル・プエルト(El puerto)となります。

ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ駅からMDで1駅乗ってプエルト・デ・サ・タンタマリア駅(Puerto de Santa Maria駅)で降ります。

町の中心部は駅から歩いて20分ほどです。

補足 カディスについて

アルベニスの「港」の自筆譜には「カディス」という書き込みがあります。

エル・プエルト・デ・サンタ・マリアは確かにカディス県の地名ですが、港があるわけではなく、港があるのはカディスのあたりになります。

カディスまでもMDでアクセスでき、プエルト・デ・サンタ・マリアから3駅乗ったところがカディス駅になります。

カディス駅はまさに海沿いにあり、徒歩で行ける範囲に漁港や市場もありますので、行ってみると良いでしょう。

一応まとめておくと、MDはセビーリャ→(7駅)→ヘレス→エル・プエルト→(2駅)→カディスという順で終点のカディスまで行きますので、この順に見て回れば移動が楽でしょう。

9. セビーリャから日本へ

カディスからは再度MDでセビーリャ(サンタ・フスタ駅)へ戻ります。

サンタ・フスタ駅からセビーリャ空港までは空港バスなどでアクセスできます。

セビーリャは国際空港となっており、日本までの直航便はありませんが、1回の乗り継ぎで帰国できるようです。

AVEを使ってマドリッドまで戻る手もあるでしょう。途中のコルドバで降りて観光してから帰るのも良いでしょう。

ネットや図書館で楽譜を無料で入手しよう

クラシック作品の楽譜は、わざわざ買わなくても楽譜が入手できるものがほとんどです。

無料で楽譜を入手する方法をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

ネットの無料楽譜を使う

メリット・・・入手が楽

デメリット・・・違法な場合がある、楽譜の質が低い場合がある

無料楽譜はパソコンやタブレットとネット環境さえあれば入手できるため、まず最初に試したい方法です。

ただしデメリットとしては、まずは著作権を無視して違法にアップロードされている楽譜があることが挙げられます。

つぎに挙げられるのは、誤植などがごく稀にあったり、少し読みにくかったり(1ページに音を詰め込みすぎなど)、また運指などが書かれていなかったりすることです。この特徴は、昔の作品になればなるほど顕著になります。

しかし、そうしたデメリットを補って余りある利便性があるのは確かです。

代表的なサイトを紹介したいと思います。

IMSLP

楽譜サイトの代表格ですね。トップページはこちらです。

私は普段、ブラウザの検索フォームで「曲名 IMSLP」のように入力して検索をしています。

このときに、作曲家名や作品名は英語で打ちましょう。

「IMSLP Chopin Barcarolle」といった具合です。検索をかけると、だいたい1件目にIMSLPが出てくると思います。

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クリックしたら、下の方にスクロールしましょう。「楽譜」というところに楽譜が並んでいます。

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複数あることが多いですが、基本的には出版社が違うだけです。クリックして、好きなものをダウンロードしましょう。

IMSLPのメリットとしては、基本的に著作権が切れていない作品はアップロードされていないという点です。

また、アップロードされている作品が多いため、著作権が切れていない作品に関して言えば、よっぽどマイナーな作品でない限り、見つけることができるでしょう。

ScorSer

次に紹介したいのはScorSer。シンプルなUIが特徴です。

検索ウィンドウがありますので、作曲家名と曲名を入力して検索ボタンを押します。

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ドビュッシーの「喜びの島」の楽譜を検索してみました。

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どれでも良いのでクリックしてみると、下のようなページになります。

上で紹介したIMSLPにリンクがつながっていることも多いです。

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「ダウンロード: ダイレクトリンク」をクリックするとダウンロードできます。

Primanota

次にご紹介するのはロシア語のサイト、Primanotaです。

特に旧ソ連の作品を調べる際、IMSLPなどで見つけられなかった場合には威力を発揮するサイトです。

ただし、著作権などは一切無視されているので、ご利用は自己責任でお願いします。

基本的な使い方としては、ページ上部に作曲家名と曲名を打って検索するだけです。ただし、ロシア語で打ち込まなければなりません。

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わざわざロシア語のサイトを使うのは、かなりマイナーな曲(=情報がほとんどない)の楽譜が欲しい場合がほとんどだと思います。

しかし、マイナーな作曲家であれば、作品も少ないことも多いですから、作曲者名だけで目的の楽譜に辿り着けることは多々あります。ですから、まずは作曲家名だけ入力して検索をしましょう。作曲家のロシア語表記は、運が良ければWikipediaなどに書かれています。

そうでなければ...気合で頑張るしかありません。人名の場合は英語→ロシア語表記はルールがほぼ決まっているので、Google翻訳などに任せるのも手です。

作曲者名のロシア語表記がわかり、無事検索できたものの、大量に楽譜が出てきた場合も同様です。気合で目的の楽譜を探してください。

ちなみに私は中学2年のときに、ロシア語の楽譜サイトを使うためにロシア語の勉強をしました。文字ぐらいならすぐに覚えられると思いますから、使用頻度が高いようでしたら覚えてしまうのも手だと思います。

図書館に行く

メリット・・・楽譜の質が高い

デメリット・・・図書館に行く時間がかかる、コピー作業が面倒

つぎは図書館を使う方法です。ネットで見つけられなかった場合、私はよく図書館などで楽譜を見つけています。

代表的な場所をご紹介しましょう。

桐朋学園大学附属図書館

 音大の図書館は、ネットでは見つけられないような楽譜が所蔵されていることがあります。(特に邦人作品など)

ただし、図書館によっては部外者の利用を認めていなかったり、認められているとしても手続きが煩雑などのデメリットがあります。

しかし、桐朋学園大学の図書館は誰でも入ることができます。公式サイトはこちら

ホームページに必要な情報は記載されていますが、まとめると、事前に借りたい楽譜を予約して、現地に行って借りるというシステムです。

図書館で借りた楽譜は、その日のうちに返す必要がありますが、館外に持ち出して近くのコンビニなどでコピーすることができます。

大量にコピーしたい場合は、島忠ホームズ仙川店の1階にあるコピー機を使うのがおすすめです。4台あるので、他の利用者を待たせて困らせることはないでしょう。

国会図書館

国会図書館は、東京都千代田区の国会のあたりにあります。

こちらの図書館は、邦人作品にはめっぽう強いですが、コピーが楽譜全体の半分しかできないというのが最大のデメリットになります。

全部コピーしたい場合は友達を連れていくか、絶版でなければ買うのが丸いでしょう。

また、国会図書館は仕組みが複雑で、借りたい資料は現地に着いてからパソコンの予約システムで予約し、15~30分ぐらいすると書庫から運ばれてくるというシステムです。

基本的には楽譜全部をコピーできないということも考えると、存在は知っているが聞いたことのない曲の楽譜を借りて眺める、あるいはCDも借りられるのでその場合は聴く、というのが基本的な使い方になるでしょう。

市区立図書館

市区立の図書館は、楽譜を所蔵していることがあります。

私が以前住んでいた東京都の文京区や練馬区の図書館には、それなりの数の楽譜が所蔵されていました。

特に、有名な作曲家の作品であれば、置いてある可能性はそれなりにあります。わざわざ音大の図書館などに出向かなくても入手できる可能性がありますので、まずは近くの図書館に置いていないか調べてみるのはオススメです。

ちなみに文京区はショパンのパデレフスキ版の楽譜はほとんど置いていたのに、ポロネーズの楽譜だけ置いていませんでした。ショパン=ゴドフスキーのエチュードの楽譜は置いていたのに...なぜでしょうか。(笑)

おまけ 楽譜のコピー方法

楽譜は一般的なサイズの本より少し大きいことが多いです。

そこで、コピーをする際に、「ちょっと小さめ」を選ぶのがオススメです。これで、端が切れたりして困ることが少なくなります。ぜひ試してみてください。

ちなみに桐朋図書館のところで紹介した島忠ホームズのコピー機は、A3は10円ですがA4なら5円でコピーできます。こうしたコピー機を使い、見開きごとではなく1ページごとにコピーするのも手だと思います。

楽譜代を抑えて楽しい音楽ライフを送りましょう。