【知られざる名曲】ドリーブ = ドホナーニ 「コッペリア」のワルツ
このブログでは、知られざるピアノの名曲を紹介しています。
今回はドリーブのバレエ音楽「コッペリア」の中でも人気の高い「ワルツ」をドホナーニが編曲したものをご紹介します。
目次
ドリーブと「コッペリア」について
レオ・ドリーブ (1836 ~ 1891) はフランスの作曲家で「バレエ音楽の父」とも呼ばれています。
「コッペリア」は全3幕からなるバレエで、ドリーブの代表作になります。
その中でも有名なのが、第1幕の序盤に演奏される「ワルツ」です。
ドホナーニについて
エルンスト・フォン・ドホナーニ (1877 - 1960) はハンガリーの作曲家・ピアニストです。
そこそこ有名な作曲家ですが、もしかしたら名前すら聞いたことがない人も多いかもしれません。
作風としては、ブラームスなどのドイツロマン派の影響が色濃いと一般的には言われています。
一般的に演奏頻度が高い作品は「6つの演奏会用練習曲」でしょうか。
ドホナーニはピアニストとしての腕も高く、それがよく分かるような作品です。なおドホナーニはピアノの教則本も書いており、現在でも高く評価されているようです。
コッペリアの「ワルツ」のドホナーニによる編曲
そんなドホナーニがコッペリアの「ワルツ」を編曲したものが以下の編曲になります。
原曲に忠実でありながら、技巧的に派手な要素を散りばめたような編曲です。
この編曲は、原曲のバレエでも「ワルツ」の前奏として演奏される部分から始まります。
その後、派手なカデンツァを経て、主題Aが奏されます。
この主題は何回か変奏されますが、最初の部分は非常にシンプルな編曲です。
次に登場するのが主題B。
ここから転調して華やかになりますが、適度に音が少ないのがセンスが良いと思います。
そして主題Aの1回目の変奏。
ここから三声になり、厚みのある響きになります。
そして主題Cが登場します↓
原曲ではここで終わりますが、さすがに2分で終わってしまっては勿体ありません。
ということで、ここからかなり自由に転調し、最終的にロ長調に転調します。
断章的に挿入されるこの主題は、第2幕で演奏される「人形のワルツ」です。
原曲はこちら。人形 (コッペリア) 役のバレリーナのカクカクした動きが視覚的にも面白いので、ぜひ見てみてください。
そして「ワルツ」に戻り、主題Aの2回目の変奏となります。
ここでも多声的な書法が使われています。
そして主題Cが再登場し、そのまま原曲通り派手に終わるのかと思いますが、消えるように主題Aの3回目の変奏につながります。
最後まで原曲の優雅で可愛らしい雰囲気を壊すことなく、それでいて華やかに終わります。
ドホナーニの編曲の技法が光る作品と言えるでしょう。
楽譜のリンク
楽譜はIMSLPから入手することができます。
https://s9.imslp.org/files/imglnks/usimg/d/de/IMSLP283444-PMLP41246-Dohnanyi_Copp%C3%A9lia_Score.pdf
聴いた感じは派手に聴こえるかもしれませんが、意外と難しくありません。中級程度の難易度と言えると思います。
原曲も有名で編曲も素晴らしいにも関わらず、意外と弾かれることの少ない本作。
ぜひ、こちらのリンクから楽譜をダウンロードし、弾いてみてください。