アレムダール・カラマーノフのピアノ曲について
アレムダール・カラマーノフという作曲家をご存知でしょうか。
交響曲を24曲書くなど多作で、同級生だったシュニトケなどからも作品は高く評価されていましたが、日本での知名度は全くないといっても過言ではありません。
この記事では、カラマーノフについて、およびカラマーノフのピアノ作品についてご紹介します。
目次
カラマーノフについて
アレムダール・カラマーノフ(1934-2007)はソ連の作曲家です。
クリミア半島のシンフェロポリで生まれ、幼い頃から音楽に親しんで育ちます。
1953年にモスクワ音楽院に入学し、ピアノ科と作曲科を卒業後、1963年まで大学で研究を続けました。
モスクワ時代の作品は調性音楽ですが、モスクワを離れる少し前の1962年頃からはアバンギャルド音楽に傾倒していたようです。
しかし、1965年にシンフェロポリに戻るとともに洗礼を受けてキリスト教となり、それ以降は宗教音楽を主に書くようになりました。
カラマーノフのピアノ作品について
交響曲が有名なカラマーノフですが、ピアノ作品も数多く書いています。
ちなみに、ピアノ作品のほとんどはモスクワ時代に書かれたものです。
以下、年代順にいくつか紹介します。
ワルツ ト長調
まずは最初期の作品(習作)を紹介します。
こちらの「ワルツ」は1944年ごろの作品で、まだ10歳ごろの作品です。
特段面白い作品ではないですが、この年齢でこの作品が書けるということに才能を感じさせられます。
ピアノソナタ 第1番
こちらはモスクワ音楽院に入学した1953年の作品で、後期ロマン派のような作風の美しい作品です。
ちなみに「怒りの日」の主題がそのまま登場する箇所があります。やはり当時からキリスト教への関心があったのでしょうか。
ちなみに、カラマーノフはピアノソナタを4曲作曲しています。(最後の第4番は1961年に作曲)
廃寺
1959年の作品。
神秘的と言いますか、退廃的と言いますか、まさに廃寺の情景が目に浮かぶような作品です。
ちなみにですが、私はこの曲をたまたま知って非常に気に入り、この記事を書くに至りました。
変奏曲
1962年の作品。
後期ロマン派のような美しい作品で、技巧的な要素も多い作品です。
ピアノ音楽 第2番
「変奏曲」と同じく1962年に書かれた作品。
作風は打って変わり、調性のない、いわゆるアバンギャルド音楽になります。
アヴェ・マリア
こちらはキリスト教徒になった後の1972年に書かれた作品。
非常に美しい作品です。いわゆるイージーリスニングに近い作風の作品かもしれません。
参考情報
カラマーノフの作品一覧(年表)は以下のサイトから見れます。
http://www.karamanov.ru/musics/musics.html
また、同じサイト内に楽譜も載せられており、ここで紹介した作品の楽譜はほとんど入手できます。