アルベニスの「イベリア」の各曲名の由来(地名)と、それらを全て巡る方法
アルベニスの「イベリア」はクラシック音楽を代表する傑作として知られています。
「イベリア」は12曲からなりますが、その曲名はほとんどが地名です。本記事では、これらの地名についての解説に加え、すべての場所を回る最適なルートを提案します。
目次
スペインの地理について
スペインは17の州、50の県からなります。
第9曲「ラバピエス」はマドリッド州の地名ですが、その他の曲のタイトルとなっている地名はすべてアンダルシア州の地名です。
この画像の中央部に赤色で描かれているのがマドリッド州で、最も南に青色で描かれている州がアンダルシア州です。
また、アンダルシア州は以下の7つの県からなります。
全12曲の曲名の由来について
曲名の由来(地名)は以下の通りです。○がついているものが、曲名が地名のものになります。
第1曲「エボカシオン」・・・「霊を呼び覚ます」といった意味のスペイン語。
○第2曲「港」・・・カディス県 エル・プエルト・デ・サンタ・マリア(El puerto de Santa Maria), あるいはカディス港
○第3曲「セビーリャの聖体祭」・・・セビーリャ県 セビーリャ 4月の市(Feria de abril de Sevilla)
(○)第4曲「ロンデーニャ」・・・マラガ県 ロンダで生まれた舞曲
○第6曲「トリアーナ」・・・セビーリャ県 セビーリャ トリアナ地区
○第7曲「アルバイシン」・・・グラナダ県 グラナダ アルバイシン地区
第8曲「エル・ポーロ」・・・アンダルシアに古くから伝わる舞曲の名称
○第9曲「ラバピエス」・・・マドリッド州 マドリッド県 マドリッド ラバピエス地区
○第10曲「マラガ」・・・マラガ県 マラガ
○第11曲「ヘレス」・・・カディス県 ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ(Jerez de la Frontera)
○第12曲「エリターニャ」・・・セビーリャ県 セビーリャ郊外にある居酒屋を兼ねた宿屋
これらを地図上で示すと、以下のような距離感になります。(ラバピエスは省略)
これらの場所を全て回るには
それでは、上記で示した7ヵ所とラバピエスを全て回るにはどうすればいいでしょうか。
以下、旅程の例を考えましたので、行ってみたいという方は参考にしてみてください。
1. マドリッド(ラバピエス地区)
まずはマドリッドへ行きましょう。
マドリッドは首都ですのでアクセスは良いです。日本からの直航便もあります。
バラハス空港から市内中心部までは10kmほどありますが、RENFE(国鉄)やメトロ、バスなどの交通手段で簡単に行くことができます。
プエルタ・デ・ソル(太陽の門)のあたりがマドリッドの中心部になります。
ラバピエスはマドリードの中心部から徒歩10分ほどです。地下鉄を使ってラバピエス駅まで行っても良いです。
2. グラナダ(アルバイシン)
グラナダまではRENFE(国鉄)のAVE(高速鉄道システム)で移動します。AVEとは、日本でいう新幹線のようなものです。
マドリッド中心部にあるアトーチャ駅で乗車すれば、3時間ほどでグラナダに到着することができます。
グラナダ駅からグラナダの中心部までは、徒歩(20分ほど)またはバスで移動できます。ヌエバ広場のあたりがグラナダの中心部です。
アルバイシン地区というのは、アルハンブラ宮殿の西側の地区です。アルハンブラ宮殿はグラナダの中心部から徒歩(20分ほど)またはバスでアクセスが可能です。
3. アルメリア
次はアルメリアを目指します。RENFE(国鉄)のMD(中距離列車)に乗れば、グラナダからは乗り換えなしで3時間で到着します。
4. マラガ
アルメリアからマラガまではALSA社のバスで移動します。3時間少しで移動することができます。
バスは海沿いを通りますが、この区間は電車は通っておらず、電車を使うのであれば再度グラナダに戻ることになります。
ただし、同じ値段でも便によって途中で停まる回数が違い、到着時間も大幅に変わるので注意してください。
5. ロンダ
マラガからはバスまたは鉄道でアクセスが可能です。
鉄道でマラガから行く場合は、まずはマリア・サンブラーノ駅(Malaga Maria Zambrano駅)へ向かいます。
マリア・サンブラーノ駅はマラガ空港から鉄道(RENFE)で3駅とアクセスもよく、マラガ市内で最大の駅となっており、周辺にはホテルなども多く建っています。
ただし、ロンダへ向かう列車は朝に1本あるだけとなっています。
6. セビーリャ
次はロンダからセビーリャへ向かいます。
ロンダからセビーリャは鉄道が通っていませんので、バスの移動になります。ロンダが山の中にあるため、バスはかなり揺れるそうです。
なお、「イベリア」の第4曲は「ロンデーニャ」であって「ロンダ」ではないので、ロンダを省略する場合は、マラガからセビーリャへ鉄道(RENFE)で向かうことも可能です。
その場合、主要都市から主要都市への移動になるのでAVE(高速鉄道システム)も走っていますし、MD(中距離列車)も走っています。AVEを使えば2時間、MDを使えば3時間半ほどでアクセスできます。
RENFEを使う場合、降りる駅はサンタ・フスタ駅(Sevilla Santa Justa駅)となります。
セビーリャ大聖堂やアルカサルがある辺りがセビーリャの中心部となり、サンタ・フスタ駅からはセビーリャ・メトロやバスなどでアクセスできます。2kmほどなので歩くことも可能です。
ちなみに、観光スポットの一つでもあるトリアナ橋(イサベル2世橋)を渡った先にあるのがトリアナ地区になります。
7. ヘレス
次はヘレスを目指しましょう。
RENFEのMDで移動します。セビーリャのサンタ・フスタ駅からカディス行きの電車に乗り、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ駅(Jeres de la Frontera駅)で降りれば良いです。1時間強で着きます。
アレナル広場(Plaza del Arenal)のあたりがヘレスの中心部となり、駅からは歩いて15分ぐらいです。
8. エル・プエルト
最後はエル・プエルトへ行きましょう。エル・プエルト・デ・サンタ・マリアは「サンタ・マリアの港」という意味で、通称はエル・プエルト(El puerto)となります。
ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ駅からMDで1駅乗ってプエルト・デ・サ・タンタマリア駅(Puerto de Santa Maria駅)で降ります。
町の中心部は駅から歩いて20分ほどです。
補足 カディスについて
アルベニスの「港」の自筆譜には「カディス」という書き込みがあります。
エル・プエルト・デ・サンタ・マリアは確かにカディス県の地名ですが、港があるわけではなく、港があるのはカディスのあたりになります。
カディスまでもMDでアクセスでき、プエルト・デ・サンタ・マリアから3駅乗ったところがカディス駅になります。
カディス駅はまさに海沿いにあり、徒歩で行ける範囲に漁港や市場もありますので、行ってみると良いでしょう。
一応まとめておくと、MDはセビーリャ→(7駅)→ヘレス→エル・プエルト→(2駅)→カディスという順で終点のカディスまで行きますので、この順に見て回れば移動が楽でしょう。
9. セビーリャから日本へ
カディスからは再度MDでセビーリャ(サンタ・フスタ駅)へ戻ります。
サンタ・フスタ駅からセビーリャ空港までは空港バスなどでアクセスできます。
セビーリャは国際空港となっており、日本までの直航便はありませんが、1回の乗り継ぎで帰国できるようです。